Starwave Recordsの設立11周年記念イベント「Starwave Fest」の模様をレポート!!~XANVALA・Scarlet Valse編~ 

Starwave Recordsの設立11周年記念イベント「Starwave Fest」の模様をレポート!!~XANVALA・Scarlet Valse編~ 

更新日:2021年02月22日 |Live


 レーベルを設立して以来、ダークなヴィジュアル系バンドの作品を数多くリリースし続けてきた「Starwave Fest」。毎年2月に行なっているレーベル設立を記念した周年イベントも、今年で11回目。例年、数多くの所属バンドがイベントの舞台を賑わすが、今年はコロナ禍ということもあり、今のStarwave Recordsを代表する数組に絞ってイベントを構成。出演したのが、ラヴェーゼ・UNDER FALL JUSTICE・未完成アリス・XANVALA・Scarlet Valseの5組。オープニングアクトには、この日のために結成したスペシャルバンドも登場。有観客のみならず、配信ライブとして届けたこの日の模様を、ここに紹介したい。
ここでは後半を担ったXANVALAと、トリを飾ったScarlet Valseのライブの模様をお伝えしよう。

XANVALA

 ヴォーカルの巽がスクリームし、演奏陣が猛々しい音が鳴り響かせると同時に、頭を激しく振り乱す衝動に駆られる「ジャノメ」が飛びだした。XANVALAは最初からアクセルを全開に、観客立ちへ飛びかからんばかりの勢いで歌や演奏をぶつけてきた。観ている側も、最初から感情のストッパーを外し、彼らの勢いへ負けじと挑みかかっていく。


続く「雨声に帰す」も、高らかに歌いあげる巽の歌声からスタート。雄々しく、朗々と歌う巽。彼の歌声を、ノイズのような轟音を響かせ煽る演奏陣。「乱れていこう」の言葉に相応しい、理性の入る余地など微塵もない狂おしい環境を、XANVALAはこの場に作りあげていった。比較的歌物色が強いとはいえ、轟音に浸る中で聞くと、抑揚した巽の歌声もひと際狂気を抱いた色として見えてゆく。

今宵のXANVALAは、徹底して攻める姿勢を示していた。彼らは、観客たちを熱狂と興奮という理想郷へ連れ出そうと、メロディックでハード&グルーヴなロックナンバー「XANADU」を突きつけ、フロア中の人たちを恍惚という様に塗り上げてゆく。激しい中にもメロディアスな表情を折り込んだ楽曲のように、身体は激しさを求めながらも、意識はずっと巽の胸くすぐる歌に惹かれ続けていた。


さぁ、理性や現実というリアルな環境をぶった切り、己の本能のみをさらけ出し全力で騒ぎ狂え。触れた人たちの感情の中に隠れている野生という本能を、XANVALAは「CREEPER」を通して引きずり出し、フロアという檻の中で騒ぎ狂う様を作り上げていった。
「今日という日を忘れないように、深くまで傷付けあおうか!!」「乱れていこう!!」。最後にXANVALAは「悪辣が君を襲う」を叩きつけ、フロア中を熱狂渦巻く極上の空間へ染め上げていった。たとえ声は出せなくとも、一定の距離を置いた中だろうが、自分を開放したい感情を誰も制御など出来やしない。どんな状況下だろうと、己を開放し本能のままに動く自由な自分になれる。XANVALAのライブの時間が、まさにそうだった。

Scarlet Valse

 イベントのトリを飾ったのが、Scarlet Valse。同イベントのトリを担うということは、レーベルとしても、今年とくに力を注ごうという姿勢の現れだ。ライブは、胸を熱く騒がせるサビ歌が印象的なハード&ドラマチックナンバー「Metamorphosis」から始まった。ヴォーカルKakeruの煽りに触発され拳を振り上げ、その場で大きく飛び跳ねる満員の観客たち。とても雄々しい楽曲なのに、魂を熱く揺らす切なくてメロウな歌に心が騒ぎ続けていた。

「日頃の感謝を込めてScarlet Valseから熱い気持ちを送ります。全力でいこうぜ、気合入れてけよ!!」。Scarlet Valseらしいシンフォニックでハードロマンな最新シングル「Valkyrie」が飛びだした。この歌に触れていると、どんな状況下でも、彼らの差し出す歌の手さえ握りしめていれたら、どんな環境の中でも羽ばたける気持ちになれる。苦難の最中にいようと、しっかりと顔を上げ前へ進んでいける自分でいられる。今のような先の見えない時代だからこそ、この歌が、暗闇の中から光射す未来へと導いてゆく。

Scarlet Valseといえば、この歌も欠かせない。楽曲が流れだすと同時に、フロア中が無数の髪の毛揺れるヘドバンの風景に染まりだす。頭を振り、飛び跳ねながら、高ぶる気持ちをメンバーらへぶつける観客たち。サビでは胸を熱く高ぶらすメロウな歌に触れ、頭上高く伸ばした両手を大きく広げ、翼に変えて揺らさずにいれない気持ちに心が染まっていた。いや、「揚羽蝶乃夢」に触れた誰もが、美しい輝きを放つ揚羽蝶になり、漆黒の闇が覆うダークな世界の中でみずからが光輝く存在として、キラキラとした光の粉を振りまき続けていった。

「苦しい世の中でも、君たちと俺たちがいれば、それで十分だ!!」。暗い闇が覆い尽くす世界を激しい音で切り裂き、大勢の人たちの元へ希望や愛という光を降り注ぐように、最後にScarlet Valseは「Prayer」を奏でてくれた。この日の彼らは、今の情勢だからこそ、ネガティブな要素をすべて消し去り、希望で心を満たす楽曲ばかりを届けてきた。それが、今のScarlet Valseの姿勢だ。それこそが、これからも夢に向かって突き進むScarlet Valseらしい生きざまだ。まさに、イベントのトリを飾るに相応しいメッセージをたくさん詰め込んだ、心を笑顔と高揚と興奮に染め上げるライブをScarlet Valseが見せてくれた。

どんな険しい状況に置かれようと、Starwave Recordsは変わらぬ姿勢で、シーンに新しい刺激と希望を与え続けてゆく。その姿勢も示したイベントになったのは間違いない。

PHOTO: A.Kawasaki (@a_kwsk_1985)
TEXT:長澤智典

XANVALA
「ジャノメ」
「雨声に帰す」
「XANADU」
「CREEPER」
「悪辣が君を襲う」

Scarlet Valse
「Metamorphosis」
「Valkyrie」
「揚羽蝶乃夢」
「Praye」

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